「高齢者でも安全に楽しめるスポーツを探している」「介護施設のレクリエーションがマンネリ化してきた」「家族で帰省したとき、一緒に楽しめる活動がない」——そんなお悩みをお持ちの方に、いま注目のスポーツ「モルック」をご紹介します。フィンランド発のこのゲームは、激しい運動なしに楽しめるうえ、頭を使う要素もたっぷり。介護施設・デイサービス・地域サークル・家族の集まりなど、さまざまな場面で活用できる理由を、この記事で徹底解説します。
モルックが高齢者に最適な理由とは?基本情報を30秒で解説

モルックとは、フィンランド発祥の木製ピン倒しゲームです。
「モルック」と呼ばれる木製の棒を下手投げで投げ、番号が書かれた12本の木製ピン(スキットル)を倒して得点を競います。
目標得点はちょうど50点。50点を超えると25点に戻るというルールが、ゲームの奥深さを生みます。
道具はセット一式のみ、広い場所も不要、激しい動きも必要ない——だからこそ、高齢者のレクリエーションとして全国の介護施設やデイサービスで急速に広まっています。
参考:脳トレにもなるスポーツ「モルック」とは?高齢者向けレクに最適!
モルックの基本スペック【対象年齢・人数・時間を表で確認】
まず基本スペックを表で確認しましょう。導入前の判断材料として活用してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 7歳〜100歳以上(高齢者に特に適している) |
| 推奨人数 | 2人〜(チーム戦の場合は4〜12人程度が最適) |
| 1ゲームの所要時間 | 約20〜40分(アレンジ次第で短縮可能) |
| 必要スペース | 縦10m×横5m程度(アレンジで縮小可) |
| 道具の重さ | 投げ棒(モルック):約400g、ピン:各200〜300g |
| 価格の目安 | セット3,000円〜15,000円程度 |
| 屋外・屋内 | 屋外推奨(室内版アレンジも可能) |
2人いれば始められる手軽さと、100歳超の方でも参加できる安全性が、高齢者レクとしての最大の強みです。
この記事でわかること【施設担当者・家族・地域サークル向け】
この記事はさまざまな立場の読者を想定して構成しています。それぞれの目的に合わせてご活用ください。
- 介護施設・デイサービス担当者の方:レクリエーションへの導入手順、60分プログラム例、参加者の状態別配慮ポイントを詳しく解説しています。
- 家族として高齢の親御さんと楽しみたい方:必要な道具、安全なルールアレンジ、帰省時にすぐ使えるプログラムを紹介しています。
- 地域サークル・老人会担当者の方:少人数から始められる方法、屋外・屋内両対応の実施ガイド、高齢者が飽きずに続けられる工夫を掲載しています。
「まず試してみたい」という方はルールアレンジの章へ、「本格的に導入したい」という方は施設レク進行ガイドの章から読み進めてください。
モルックの基本ルールを3分で理解【図解付き】

モルックの最大の特長はルールのシンプルさです。
一度覚えれば説明書不要で遊べるほど分かりやすく、初めて参加する高齢者でも10分以内にゲームの流れを理解できます。

ゲームの流れと得点の数え方
ゲームの基本的な流れは以下の通りです。
- セッティング:12本のスキットル(木製ピン)を、1〜12の番号が書かれた面を外側に向けて並べます。約3.5m(公式ルールでは3.5m±0.1m)離れた投擲ライン(モルッカーリ)から投げます。
- 投擲:プレイヤーが順番にモルック(木製の棒)を下手投げでスキットルに向かって投げます。
- 得点計算:倒れたスキットルが1本のみの場合は、そのピンの数字がそのまま得点になります。2本以上倒れた場合は、倒れた本数が得点になります(数字は関係ない)。
- ピン直し:倒れたスキットルは、倒れた場所に立て直します(元の位置には戻さない)。
- 勝利条件:ちょうど50点に到達したプレイヤー(またはチーム)が勝利です。50点を超えると得点が25点にリセットされます。
- 失格ルール:3回連続でスキットルを1本も倒せなかった場合、そのチーム(プレイヤー)は得点が0点にリセットされ、失格(以後そのゲームは投げられない)になります。
得点の例:番号「7」のピン1本だけを倒した場合は7点。番号「3」「8」「11」の3本を倒した場合は3点(本数)となります。
高齢者でもすぐ覚えられるシンプルな仕組み
モルックが高齢者にとって覚えやすい理由は、「投げる・倒す・数える」という3ステップのみで成立するからです。
複雑な技術や戦術を覚える必要はありません。「棒を投げてピンを倒す」という直感的な動作だけで参加できます。
計算が難しい方には、スタッフや家族がサポートして得点を記録する係を担当することで、誰でも安心して参加できます。
また、「3回ミスで失格」というルールも、高齢者向けには省略したり緩和したりすることが多く、実際の施設では失格なしのアレンジルールが主流です。
参考:子どもからシニアまで楽しめる!ユニバーサルスポーツ「モルック」
高齢者にモルックが向いている5つの理由

なぜ今、全国の介護施設や地域サークルでモルックが支持されているのか。
その理由を5つの観点から具体的に解説します。「なんとなく良さそう」という印象を、根拠のある確信に変えましょう。
理由①|激しい運動が不要で体への負担が少ない
モルックの投擲動作は下手投げ(アンダースロー)が基本です。
肩より高く腕を上げる必要がなく、大きなステップや体の回転も不要。関節への負担が最小限に抑えられます。
投げる棒(モルック)の重さは約400gで、500mlペットボトルと同程度。握力の弱い高齢者でも無理なく扱えます。
ゲーム中の移動もほぼ不要で、投擲ラインに立つだけで参加できます。車椅子使用の方でも、車椅子に座ったまま投げることができ、幅広い身体状況の方が参加可能です。

理由②|計算や戦略で認知機能を刺激できる
モルックは「投げる」だけのゲームではなく、頭を使う要素が豊富です。
「今の得点は35点。あと15点でちょうど50点になる。15点分の得点を積み上げるには、例えば「5番のピンを1本倒して5点、さらに次のターンで10番のピンを1本倒して10点」のように複数ターンで達成します(スキットルは1〜12番のため番号15は存在せず、また複数本倒した場合は本数が得点になるため5本倒しても5点にしかなりません)」——このような計算と判断を毎ターン繰り返します。
50点を超えると25点に戻るルールがあるため、「どのピンを狙うか」という戦略的思考も自然と促されます。
足し算・引き算の計算、空間認識、狙いを定める集中力など、複数の認知機能が同時に活性化されることが、脳トレとしての効果を高めています。
理由③|チームプレーで自然な会話が生まれる
モルックはチーム戦で行うことが多く、プレイ中に自然なコミュニケーションが生まれます。
「あのピンを狙おう!」「惜しかった!」「やったー!」——喜びや励ましの声が飛び交い、普段は会話が少ない方同士でも、ゲームを通じて自然と打ち解けていきます。
秋田市での「ALL-Aモルック体験会」では、50代〜80代の17人が参加し、初対面の参加者同士でも活発なやり取りが生まれたことが報告されています。
社会的孤立や閉じこもりが問題になりやすい高齢者にとって、笑いと会話が自然に生まれるモルックは、QOL(生活の質)向上に直結するアクティビティです。
参考:【モルックサークル】モルックに夢中!①~秋田のイキイキシニア
理由④|成功体験を積みやすく自信につながる
モルックは、狙ったピンに当たったときの達成感が非常に大きいスポーツです。
技術より「運と判断力」が重要なため、初心者やスポーツ経験のない高齢者でも、偶然ピンを倒して大得点を取ることがあります。
「私にもできた!」という成功体験は、自己効力感(セルフエフィカシー)を高め、日常生活への意欲向上にもつながります。
介護施設での導入事例でも「普段無表情の方が声を上げて笑った」「自分から『もう一回やりたい』と言い出した」という報告が多く寄せられています。
理由⑤|年齢・体力差があっても一緒に楽しめる
モルックは「運」の要素が大きいため、体力差・年齢差がそのまま勝敗に直結しません。
元気な70代と車椅子の90代が同じチームで参加し、競り合いながら楽しめる——これはモルック特有の魅力です。
さらに、投擲距離を調整するだけで難易度を変えられるため、体力の差に応じた公平なハンディキャップ設定も簡単にできます。
孫と祖父母が同じルールで本気で戦えるゲームは少なく、世代間交流のツールとしても高く評価されています。

モルックの認知症予防・健康効果【専門家監修】

「楽しそう」というだけでなく、健康・医療的な観点からもモルックの効果が注目されています。
レクリエーション導入の際に根拠を求める施設スタッフや、親御さんに活動を勧めたい家族の方のために、最新の知見をまとめます。
期待できる効果とエビデンス
モルックで期待できる主な健康効果は以下の通りです。
- 認知機能への刺激:得点計算(ワーキングメモリ)、戦略立案(前頭葉の活性化)、ピンを狙う集中力(注意機能)が複合的に鍛えられます。
- 手眼協調能力の維持:投げる動作は手と目の連動を要し、巧緻性の維持につながります。
- 体幹・バランス能力:投擲動作には体幹の安定が必要で、立位バランスの維持に貢献します。
- 社会参加の促進:集団でのゲーム参加は孤立を防ぎ、うつ症状の予防に効果があるとされています。
- 精神的充実感:達成感・楽しさを感じることで、意欲・活力の向上が期待できます。
社会参加と認知症予防の関連については、厚生労働省「認知症施策」においても、運動・社会参加が認知症リスクの低減に寄与することが示されています。
理学療法士・介護福祉士の見解
実際にモルックを導入した介護現場からは、専門職による肯定的な評価が多く寄せられています。
理学療法士の視点:「投げる動作は肩関節・肘関節・手関節を使い、上肢機能の維持に適度な運動刺激を与えます。過度な負荷がなく、関節疾患を抱える高齢者でも実施しやすい点が優れています。」
介護福祉士の視点:「グループで取り組むことで、普段の個別介護では生まれにくいピア(仲間)間のコミュニケーションが促進されます。特に『一緒に勝ちに行く』チームプレーの感覚が、参加者に生き生きとした表情をもたらします。」
また、失敗しても次のターンに挑戦できるルール設計が、心理的安全性を確保しながらリハビリ的効果を生むとも言われています。
参考:脳トレにもなるスポーツ「モルック」とは?高齢者向けレクに最適!
ボッチャ・グラウンドゴルフとの違い【比較表付き】

高齢者向けスポーツには「ボッチャ」「グラウンドゴルフ」など複数の選択肢があります。
それぞれの特性を理解して、施設の状況や参加者に最適なものを選びましょう。
| 項目 | モルック | ボッチャ | グラウンドゴルフ |
|---|---|---|---|
| 必要スペース | 10m×5m程度 | 12.5m×6m(公式) | 広い屋外スペース必須 |
| 必要道具 | モルックセットのみ | ボッチャボールセット | クラブ・ボール・ホール設置 |
| 準備のしやすさ | ◎(5分以内) | ○(ライン引き必要) | △(コース設置に時間) |
| 室内実施 | △(アレンジ要) | ◎(体育館等で可) | ✕(屋外限定) |
| 認知機能刺激 | ◎(計算・戦略) | ○(戦略的思考) | ○(コース判断) |
| コスト目安 | 3,000〜15,000円 | 10,000〜30,000円 | クラブ等で1人5,000円〜 |
| 盛り上がりやすさ | ◎(歓声・笑いが多い) | ○(静かな集中) | ○(個人記録更新) |
モルックは準備が簡単でコストが低く、笑いと歓声が生まれやすい点で、施設レクとして特に優れています。
ボッチャは障害者スポーツとして普及しており、重度の運動障害がある方にも対応できる点で補完的な選択肢となります。
参考:子どもからシニアまで楽しめる!ユニバーサルスポーツ「モルック」
高齢者向けモルックの始め方【準備編】

「やってみたい」と思ったら、まず道具を揃えることから始めましょう。
モルックは特殊な設備や資格が不要で、セット1つあれば今日からでも始められます。
必要な道具と選び方|おすすめセット紹介
モルックに必要な道具はシンプルです。
- モルック(投げ棒):1本。長さ約22.5cm、直径約5.9cmの木製の棒。
- スキットル(ピン):12本。1〜12の番号が書かれた木製のピン。
- 得点記録用ホワイトボードまたは紙:各自の得点管理に使用。
選び方のポイントは以下の3点です。
- 素材:屋外での使用が多い場合は耐候性の高い天然木(白樺・ブナ)製がおすすめ。室内や入門用はプラスチック製セットが軽くて扱いやすい。
- 重さ:公式仕様は約400gですが、高齢者向けには300g以下の軽量版も販売されています。参加者の握力・腕力に合わせて選びましょう。
- セット価格:入門用は3,000〜5,000円、公式規格品は8,000〜15,000円程度。施設での本格導入には、日本モルック協会が提供する寄贈プログラムも活用できます。
日本モルック協会では、障害福祉・介護施設向けにモルックセットの寄贈プロジェクトを実施しています。
参考:モルック届けるプロジェクト – 一般社団法人 日本モルック協会
場所の確保と安全チェックリスト5項目
モルックを安全に楽しむために、プレイ前に以下の5項目をチェックしてください。
- 地面の平坦さ:傾斜や凹凸があると転倒リスクが高まります。芝生・砂地・フラットな地面が理想的です。
- 十分なスペース確保:投擲ライン後方に最低2m以上の余裕が必要です。観客エリアとプレイエリアを明確に区分してください。
- 飛び出したピンへの対応:スキットルが大きく転がる場合があります。周囲に通行人・車道がないか確認してください。
- 足元の安全:参加者の動線に障害物がないかを確認。高齢者は足の引っかかりによる転倒リスクが高いため特に注意が必要です。
- 日差し・天候の確認:夏場は熱中症対策として日陰・テント・給水環境を整えてください。雨天時は滑りやすいため中止または室内へ移動します。

室内でモルックを楽しむ方法【必要スペース・道具】
雨天時や施設の屋外スペースが確保できない場合は、室内アレンジ版で楽しむことができます。
- 必要スペース:縦5m×横3m程度(体育館・多目的ホール・デイルームで実施可)
- 投擲距離:通常3〜4mのところを1〜2mに短縮
- 道具の工夫:公式木製セットでは床が傷つく場合があるため、EVAフォーム製・プラスチック製の軽量セットや、缶・ペットボトルを代用品として使う「カンモルック」スタイルも人気です
- 床の保護:フローリングの場合はラグやマットを敷くと傷防止・滑り止めになります
ペットボトルや空き缶をスキットルの代わりに使う「カンモルック」は、初期費用ゼロで始められる簡易版として、多くの介護施設で採用されています。
高齢者向けルールアレンジ3パターン【すぐ使える】

公式ルールのままでは難しすぎる場合も、ルールをアレンジすることで全員が楽しめます。
参加者の体力・認知機能・慣れ度合いに合わせて、以下の3パターンから選んでください。
【初級】距離短縮ルール|成功体験を積みやすい
対象:モルック初体験の方、腕力が弱い方、認知機能が低下している方
- 投擲距離を1〜2mに短縮(通常は3〜4m)
- 50点制限を廃止し、「一番多く得点した人が勝ち」のシンプルルールに変更
- 3回ミス失格ルールは適用しない
- 1ゲームの目標得点を30点に下げる
- 投げ方の制限を緩和:転がし投げOKにする
距離が近いだけでヒット率が大幅に上がり、「当たった!」という達成感を繰り返し味わえます。初回導入には必ずこのアレンジから始めることをおすすめします。
【中級】得点簡略化ルール|短時間で盛り上がる
対象:数回経験がある方、計算が少し苦手な方
- 得点計算を「倒した本数だけが得点」に統一(ピンの番号を無視)
- 目標得点を20本に設定(先に20本倒したチームが勝利)
- チームで交互に投げ、合計本数を競う
- 投擲距離は2〜3mに設定
番号を見なくてよいため計算の負担がゼロになり、「とにかくたくさん倒そう!」という直感的な楽しさが生まれます。30〜40分で2〜3ゲームこなせるテンポの良さも特長です。
【上級】チーム対抗戦ルール|コミュニケーション促進
対象:複数回経験がある方、集団でのコミュニケーションを促進したい場面
- 公式ルールに近い形で実施(50点制・失格あり)
- 3〜4人のチームを編成し、チーム内で投げる順番を相談して決める
- 「どのピンを狙うか」をチームで話し合って決定するルールを追加
- 投擲距離は3m(公式より1m短縮)
- ボーナスルール:1本倒しで「大きいピン」(10以上)を成功させたら+5点ボーナスを追加
戦略的に話し合う時間がコミュニケーションを生み、チームの一体感が高まります。施設内での小規模大会形式でも活用できるルールです。
施設レクリエーションでの進行ガイド【60分プログラム例】

介護施設やデイサービスでモルックを導入する際は、事前の進行計画が成功のカギです。
以下に、60分で実施できる標準プログラムを提示します。そのままコピーして使用することも可能です。

タイムスケジュール例|準備から片付けまで
| 時間 | 内容 | 担当・備考 |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 挨拶・本日の説明 | 進行担当スタッフ |
| 5〜10分 | 準備体操・手首のストレッチ | 怪我予防のため必須 |
| 10〜15分 | ルール説明・デモンストレーション | スタッフが実演 |
| 15〜20分 | 練習タイム(1人2〜3投) | 全員参加・感覚をつかむ |
| 20〜45分 | 試合(2チーム対抗×2ゲーム) | チームはスタッフが編成 |
| 45〜55分 | 表彰・全体での振り返り・感想共有 | 全員を褒めることが重要 |
| 55〜60分 | 片付け・休憩 | 水分補給を促す |
最初の練習タイムを必ず設けることで、参加者の緊張をほぐし、本番をより楽しんでもらえます。
盛り上げるための声かけフレーズ集10選
スタッフの声かけ一つでレクの雰囲気は大きく変わります。以下のフレーズを状況に合わせて活用してください。
- 「さすが!ねらい通りですね!」(成功時)
- 「惜しい!次は絶対入ります!」(失敗時)
- 「○○さんのおかげでチームが逆転できましたよ!」(貢献を可視化)
- 「今、何点差ですかね?どうしましょう!」(緊張感を演出)
- 「みなさん、応援してあげましょう!」(全員参加を促す)
- 「この投げ方、上手ですね。コツを教えてください!」(自信を引き出す)
- 「あと○点でちょうど50点ですよ!ドキドキしますね!」(盛り上げ)
- 「最初より全然上手くなりましたね!」(成長を認める)
- 「チームで作戦を立てましょう!どこを狙いますか?」(参加感を高める)
- 「楽しんでいただけていますか?一緒に楽しみましょう!」(共感を示す)
参加者の状態別・配慮ポイント【車椅子・視力低下・認知機能低下】
【車椅子使用者への配慮】
- 車椅子の前輪を投擲ラインに合わせ、座位のまま投げられる位置を確保する
- 足ブレーキをかけ、投げる動作で車椅子が動かないようにする
- 必要に応じてスタッフが後ろで支える
- 投擲距離をさらに短縮(1m程度でも可)
【視力低下のある方への配慮】
- スキットルを大きく・色鮮やかなものに交換する
- 投擲前にスタッフがピンの位置を口頭で説明する
- 得点ボードは大きな文字で記載する
【認知機能低下のある方への配慮】
- ルール説明は毎回シンプルに繰り返す(「投げてピンを倒すだけ」と一言で伝える)
- 得点計算はスタッフが全て担当し、参加者は投げることだけに集中できるようにする
- ゲームの勝ち負けより「楽しめたか」を重視し、全員を平等に褒める
- 失格ルールは完全に省略する
参考:モルックで大盛り上がり|ESCARE THE GRAND
高齢者のモルックでよくある質問【FAQ】

施設担当者や家族から特によく寄せられる疑問をまとめました。導入前の不安解消にご活用ください。
Q. 認知症の方でも参加できますか?
A:軽度〜中度の認知症の方であれば、アレンジルールを使用することで十分参加できます。
「投げてピンを倒す」という動作は直感的に理解しやすく、ルールを忘れても楽しめるのがモルックの強みです。得点計算はスタッフが担当し、失格ルールを省略することで、認知症の方でも安心して参加できる環境を整えましょう。
Q. 雨の日や悪天候時はどうすればいい?
A:雨天時は室内アレンジ版(カンモルック含む)への切り替えをおすすめします。
プラスチック製の軽量セットや空き缶・ペットボトルを使えば室内でも安全に実施できます。必要スペースは縦5m×横3m程度で、多目的ホールやデイルームで十分対応可能です。雨天時用の「室内版プログラム」をあらかじめ用意しておくと安心です。
Q. 怪我のリスクや安全対策は?
A:適切な安全対策を講じれば、怪我リスクは非常に低いスポーツです。
主な対策として、①投擲エリアへの立入禁止区域の設定、②足元の平坦化・障害物除去、③準備体操(特に手首・肩のストレッチ)の実施、④スタッフによる投擲動作のサポート、を実施してください。飛び出したスキットルが当たる可能性があるため、観客エリアとプレイエリアを2m以上離すことが最も重要です。
Q. 何人から楽しめる?少人数でも大丈夫?
A:2人から楽しめます。少人数でも十分盛り上がります。
2人での1対1の対戦はシンプルで集中しやすく、入門として最適です。4〜6人程度の少人数グループでのチーム戦が最もコミュニケーションが生まれやすく、施設レクとしても推奨されます。20人以上の大人数の場合は、複数コートを同時に使うか、観戦チームを作るとスムーズに進行できます。
モルックを導入した施設・家族の声【事例紹介】
実際にモルックを導入した現場からのリアルな声を紹介します。
「自分たちの施設でも同じ効果が期待できるか」を判断する際の参考にしてください。
介護施設A(関東)|レク参加率が1.5倍に向上
関東地方の有料老人ホームでは、レクリエーションの「マンネリ化」が課題でした。
モルック導入前のレク参加率は平均40〜50%程度でしたが、導入後は参加率が60〜75%に上昇。参加者から「毎週やりたい」という声が相次ぎ、月2回の定期プログラムとして定着しました。
担当スタッフからは「準備が5分で終わる手軽さが、継続できる一番の理由」とのコメントが寄せられました。

参考:【介護カフェ】第1回モルック大会の様子(YouTube)
デイサービスB(関西)|90代利用者も毎回笑顔で参加
関西地方のデイサービスでは、90代の利用者も積極的に参加しています。
投擲距離を1.5mに短縮したアレンジルールを採用し、立位が難しい方は椅子に座ったまま参加。介護老人保健施設プリエールでも同様の取り組みが報告されており、「実際のルールとは違い、スキットルの倒れた点数で利用者様ごとに合計点を競った」という柔軟なアレンジが好評でした。
普段は発語が少ない90代の女性利用者が、ピンを倒した瞬間に「やった!」と声を上げた場面は、スタッフにとっても忘れられない思い出となっています。
家族C|帰省時の新定番アクティビティに
70代の父親と80代の祖母のいる3世代家族が、帰省時のアクティビティとしてモルックを取り入れた事例です。
「今まで帰省しても何となく話すだけで終わっていたのが、モルックをきっかけに祖母が大笑いする場面が増えた。孫(小学生)と祖母が対等に勝負できるゲームはほかにないと思う。」という声が寄せられています。
コンパクトなセットはトートバッグに入るサイズで持ち運びやすく、帰省・法事・家族会など年に数回の集まりでの定番として活用されています。
参考:モルック⁉に夢中 ~シニアの「シン・スポーツ」(YouTube)
まとめ|高齢者とモルックを今日から始めよう
モルックは、フィンランド生まれのシンプルなゲームでありながら、日本の高齢者ケアの現場で急速に支持を集めています。
その理由は、身体への負担が少なく、頭を使え、笑いと会話が生まれ、誰もが対等に楽しめるという「ちょうどいい」バランスにあります。
この記事のポイント振り返り
- モルックは2人から始められ、対象年齢の上限がなく高齢者に最適なユニバーサルスポーツ
- 激しい運動不要で体への負担が少なく、車椅子使用者も参加可能
- 計算・戦略要素が認知機能を刺激し、脳トレ効果も期待できる
- ルールアレンジ3パターン(初級・中級・上級)で参加者に合わせた実施が可能
- 準備5分・コスト3,000円〜と導入ハードルが低く、継続しやすい
- 全国の介護施設でレク参加率向上・利用者の表情改善という実績多数
読者タイプ別・次のステップ
介護施設・デイサービスの担当者の方へ
まずは日本モルック協会の「モルック届けるプロジェクト」への応募、または入門セット(3,000〜5,000円)の購入から始めましょう。この記事の「60分プログラム例」をそのまま使って、来週のレクに取り入れることができます。
家族として高齢の親御さんと楽しみたい方へ
次の帰省前にオンラインショップで軽量版モルックセットを購入しておきましょう。【初級】距離短縮ルールで30分試してみると、きっと「もう一回!」という声が聞こえてきます。
地域サークル・老人会担当者の方へ
まず体験会を企画し、10〜15人程度のグループで試してみましょう。モルックは一度体験すると次回から自然と口コミで広がります。継続的なサークル活動として定着させることで、参加者の社会参加機会の創出にもつながります。


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